炎の向こうにあった暮らし
11月18日、大分市佐賀関で起きた大規模火災は、住宅や空き家を含めて170棟以上を焼き、山林や無人島にまで火が及びました。
消防車50台以上、自衛隊の出動を経て、ようやく20日午前、鎮圧状態に至ったと報道されています。
報じられた焼失面積は約4万8900平方メートル。
その数字だけでは測れない、暮らしの記憶、日々の営み、そこに住まう人の人生が、一瞬で変わってしまう現実を、私たちはどう受け止めたらいいのでしょうか。
火元とみられる家屋からは、ご高齢の男性とみられる遺体も見つかっています。
その方が過ごしていた日々、そして守ってきた家。それらが一瞬で姿を消したという事実に、ただ胸が痛みます。

“関アジ・関サバ”の影響も、湯布院に
今回の火災は、漁業にも大きな影響を及ぼしています。
関アジ・関サバで知られる佐賀関の漁業関係者によると、漁に欠かせない道具や設備を作っていた工場が全焼し、今後の漁が難しくなる可能性があるとのこと。
関アジ・関サバは、ZAKUROでも時折お出ししていた貴重な海の幸です。
とくに記念日など、特別な夕食の場に選ばれることが多く、丁寧に仕込んだお刺身が、食卓に静かな喜びを運んでくれていました。
その背景には、魚を育て、獲り、運び、下処理し、届ける人の無数の手がありました。
それが、今回の火災で大きく断ち切られようとしています。
宿にとって、料理はただの提供物ではありません。
それは、「土地の記憶を口に運ぶ」体験そのものであり、地域の豊かさとつながる手段でもあるのです。
火を前にして、私たちが守るべきもの
人の営みは、自然の前ではあまりに脆い。
それでも私たちは、また立ち上がって暮らしていきます。
ZAKUROにとっても、火は大切な存在です。
囲炉裏のような灯り、湯気を立てるお鍋、肌寒い夜を温める暖炉の火。
けれど一方で、その火が一度暴れ出せば、積み上げてきたものを一瞬で奪ってしまう。
だからこそ、日々の火の扱いには細心の注意を払っています。
そして同時に、火が与えてくれる「温かさ」や「癒し」の力も、大切にしたいと感じています。
今回の火災によって、あまりに多くのものが焼かれてしまいました。
けれど、それでも残ったもの——地域の絆や、再建への想いを信じて、私たち宿泊業にできることを模索していきたいと思います。
食の背景にいる人たちへ、想いを寄せる旅
関アジ・関サバが食卓に届くまでには、目に見えない人の手が幾重にも重なっています。
料理人の技だけではなく、漁師の知恵、道具職人の経験、輸送する人の配慮、そしてそれを選んで仕入れる宿の目。
どれが欠けても、あの美しい一皿にはなりません。
旅の中でいただく食事は、思い出の一部として記憶に残ります。
けれどその背景を意識することは、案外少ないかもしれません。
今回の火災を通じて、あらためて「食のありがたさ」を心に刻みました。
ZAKUROにお越しいただく皆さまにも、その一皿の向こう側にいる人々の存在を、ほんの少しでも感じていただけたなら嬉しく思います。
Yufuin Luxury Villa – zakuro –
湯布院の静寂と、特別なひとときを
由布岳を望む三つのプライベートヴィラ──
Yufuin Luxury Villa – zakuro – は、
一日わずか三組だけが出会える、
静けさと贅沢が調和した大人の隠れ家です。
記念日やプロポーズ、夫婦水入らずの時間。
そして、忙しい日常を離れ、
心から寛ぎたい女性旅にも。
自家源泉かけ流しの温泉、四季を映す庭、
地元食材の朝食。
「二人だけの特別な湯布院」を約束します。
(時間 8:30–10:00・早朝出発はご相談可)
