バーガーキング買収に見る土地と味の記憶|湯布院ZAKURO

私たちはなぜ“あの味”を覚えているのか
米ゴールドマン・サックスが、バーガーキングの日本事業を約700億円で買収する見通しになったというニュースが届きました。
2019年には77店舗だった国内店舗数が、今では300を超え、さらなる拡大も見込まれているとのこと。
そのスピード感は、ファストフードという業態を象徴するようでもあります。
宿を営む者として、思わず考えてしまうのは「味の記憶」と「土地の関係」です。
全国どこでも同じように味わえる安心感と引き換えに、私たちは何を手放しているのでしょうか。
“おもてなし”とグローバル資本の間にあるもの
ZAKUROでは、「誰がつくり、誰が届けるのか」をとても大切にしています。
一見便利で平等に見える均一なサービスも、そこに関わる“人の背景”を見落としてしまうことがあります。
大手資本による買収は、経済のダイナミズムとして受け止めつつも、同時に「おもてなしの本質」とどう折り合いをつけるのかを考えさせられます。
たとえば、厨房の火の入れ方、パンの温度、最後に手を添える動作ひとつでも、心が入るかどうかは大きな違いです。
大量生産とスピード重視の現場であっても、ほんの少しの“思い”が、味や空間に表れるのです。
湯布院で感じる、土地に根ざした営み
湯布院という土地では、ファストフードチェーンを見ることはほとんどありません。
代わりに、地元の野菜を使った朝ごはん、季節ごとに変わる手づくりの甘味、そしてなにより、顔が見える距離感があります。
ZAKUROの朝食でも、決まったレシピがあるようでいて、その日の天気やお客様の声色によって、ほんの少しずつ変化しています。
それは“最適化”とは真逆の発想かもしれませんが、人の営みとは本来そういうものなのだと思います。
都会で味わうワンパターンのハンバーガーも、旅先で食べる一杯の味噌汁も、どちらも“食べる”という行為には変わりません。
けれども、その背景にある物語は大きく違っていて、それこそが「旅をする理由」なのだと思います。
覚えていたい味、届けたい記憶
人はなぜ旅をするのでしょうか。
美味しいものを食べたいから? きれいな景色を見たいから?
もちろんそれも理由のひとつですが、深いところでは「何かを確かめたい」という想いがある気がします。
たとえば、幼い頃に食べた祖母の煮物の味。
誰かと笑いながら分け合ったホットドッグの匂い。
味というのは、記憶と心をつなぐ不思議なスイッチなのかもしれません。
ZAKUROでは、お客様がそのスイッチをそっと押せるような時間を提供したいと考えています。
それは派手な演出ではなく、ごく静かで、ごく自然な、味や空気の中にそっとあるものです。
グローバル資本が食文化を塗り替えていく中で、私たちはせめて、土地に根ざした味と心を守りたい。
そんな想いを、これからも丁寧に重ねていきます。
Yufuin Luxury Villa – zakuro –
湯布院の静寂と、特別なひとときを
由布岳を望む三つのプライベートヴィラ──
Yufuin Luxury Villa – zakuro – は、
一日わずか三組だけが出会える、
静けさと贅沢が調和した大人の隠れ家です。
記念日やプロポーズ、夫婦水入らずの時間。
そして、忙しい日常を離れ、
心から寛ぎたい女性旅にも。
自家源泉かけ流しの温泉、四季を映す庭、
地元食材の朝食。
「二人だけの特別な湯布院」を約束します。
(時間 8:30–10:00・早朝出発はご相談可)
